全米が震撼した事件

衝撃の実話!チェンジリング

全米が震撼した事件

映画のオープニングで、黒いスクリーンに小さな文字が浮かび上がります【 a true story 】そして、次の場面では1928年のロスアンゼルスの街並みが広がります。

【ゴードン・ノースコット事件】は別名を【ワインヴィル養鶏場連続殺人事件"Wineville Chicken Coop Murders"】とも呼ばれているアメリカ合衆国で発生した連続少年誘拐殺人事件です。

事件の概要

1926年、カリフォルニア州リヴァーサイド郡で養鶏場を営んでいるゴードン・スチュアート・ノースコットは、カナダのサスカチュワンからその当時14歳の甥っ子サンフォード・クラークを自宅へ引き取って生活していました。

1928年2月にロスアンゼルスのラ・プエンテの溝の中で、メキシコ人少年(身元不明)の死体が発見されました。身元不明のメキシコ少年の死体には首がありませんでした。さらに近所の2人の兄弟がゴードンと一緒にいるところを目撃されたのを最後にしてそれから行方不明になっていました。

9月にロサンゼルス市警察はゴードンのワインヴィル養鶏場を捜査するために捜索しました。そこでラ・プエンテで見つかったメキシコ人少年の頭部を発見しました。警察がまだ少年のクラークを追及したところ、ゴードンが2人の少年を性的虐待したうえで撲殺したことを自白しました。さらにゴードンが母親のサラ・ルイーズの助けを借りて何人もの少年を誘拐して、養鶏場に監禁して猥褻行為をした挙句に殺害した後で、周辺に遺体を埋めていたことも判明しました。

警察が捜索したところ人骨の欠片しか発見することはできませんでしたが、クラークの証言によると証拠隠滅をするために生石灰で処分したためいうものでした。事件発覚時は、ゴードンは21歳で警察が養鶏場を捜索する前にカナダに逃亡していました。しかし、ブリティッシュコロンビア州ヴァーノンで拘束されて、カリフォルニアに送還されて3人の殺害容疑で起訴されることになりました。

ゴードンは、連続少年誘拐殺人犯でした。ゴードンは少年を誘拐してきては養鶏場に監禁して、自分の歪んだ性的欲求の捌け口にして、時には金銭を目当てに身元不明の自分と同じ様な性的指向を持つ顧客に対して少年を「貸し出して」いたというものでした。被害者の少年たちは飽きられて必要がなくなれば撲殺され生石灰で肉を溶かし骨を養鶏場周辺の砂漠に遺棄されていました。一連の作業を手伝わされていたクラークが証言した遺棄現場からは大量の人骨が発見されることになりました。

クラークは事件の重大な証言をしたことから、司法取引の見返りとして刑事裁判では起訴されませんでした。その後サンフォード・クラークから氏名の変更命令を出されて少年院へ送致となり、その後はカナダに強制送還されました。彼は事件の関係者の中では最も長生きしてその後家庭を構えて1991年に死亡しました。

事件の波紋

裁判でゴードンはウォルター・コリンズなどを殺害したことを認めて、ゴードンの母親サラも5人の殺害に関与したことを認めました。サラはメキシコ人少年を殺害した罪で1928年12月31日に終身刑が宣告されていますが、終身刑になった理由として検事によるとサラが女性だったため死刑を免れたとされています。彼女は12年後に仮釈放されています。

ゴードンは弁護人を雇わずに裁判をしましたが、裁判ではいいかげんと矛盾した供述を行い続けたため、結局のところ事件の全貌は明らかにはなりませんでした。また法廷でゴードンは自分は精神異常者ではないと主張して、その主張が認められたために責任能力があるとされ死刑が言い渡されています。

その後サン・クウェンティン刑務所の死刑囚監房に収監されましたが、ゴードンは自らが犯した罪の大きさを認識し、次第に精神の均衡を失い始めました。そして死に至る病気になったと思いつめて、自分が犯した一連の大量殺人の詳細をクリントン・ダフィ副所長に告白しました。ゴードンは病気が回復した後の1930年10月2日に、死刑の恐怖に脅えながらサン・クウェンティン刑務所の刑場で死刑が執行されました。

クリスティン・コリンズについて

クリスティン・コリンズの息子ウォルター・コリンズ(当時9歳)は、1928年3月10日にロサンゼルスの自宅から行方不明になっていて、全米の注目を集めていました。ロサンゼルス市警察は5ヵ月後にイリノイ州でウォルターを『発見』して、母親のクリスティンに発見した息子を引き渡しました。しかし発見された少年は、失踪した当時9歳という成長期という時期にも関わらず身長が低くなっているといった点で、明らかにウォルターではありませんでした。そのためクリスティンは発見された子どもを別人であると主張して、その他にクリスティンは歯の治療記録も根拠に出して息子が違うということを主張していました。

しかしロスアンゼルス市警察は、クリスティンの訴えに全く取り合わないだけでなく、クリスティンを「警察が認定した事実を認めない異常者」として精神病院(ロサンゼルス郡立病院精神科閉鎖病棟)に強制入院させました。

その後ゴードンの自白によって、ウォルターが殺害されていたことが明らかになり、クリスティンは強制入院させられていた病院から退院できることになりました。もし警察が初めからきちんと捜査していればウォルターを救出できた可能性もあるため、そもそも警察が連れてきた少年はいったい何者か?!ということが問題になりました。

この事態の異常な展開によって、警察の逆鱗に触れた者は異常者と決め付け精神病院送りにするといったその当時の市警察の腐敗体質が暴露されることになりました。ウォルターとされた少年は。アーサー・J・ハチンズ・ジュニアでした。彼が後に語った、自分がウォルターだと偽った理由には、継母と折り合いが悪いため遠くに行きたかった。そしてロスに行けば映画スターたちに会えると思ったためというのが理由でした。

ウォルター捜索の担当だったロスアンゼルス市警察失踪人課警部J・J・ジョーンズは、明らかにウォルターとは違う事に気づくはずなのに、自分自身の功名心のためにアーサーの幼稚な芝居に加担したばかりだけではなく、真相究明を求めるクリスティンを精神病扱いにしましたた。クリスティンは自らを精神病院送りにしたジョーンズ警部に対して民事訴訟を起こして勝訴しましたが、発見された骨片がウォルターのものかどうか判別できなかったことから、彼女は生涯にわたって息子ウォルターの生存を信じていたといいます。ジョーンズとデーヴィス市警本部長は後に免職そして罷免されました。

映画キャスト&スタッフ

映画の撮影数ヶ月前にアンジョリーナ・ジョリーは実の母を亡くしていて、決してあきらめることなく大きな権力に戦い続けるクリスティンを演じるときに実の母をだぶらせて演じていたそうです。そして監督のクリント・イーストウッドも、自分自身の母親をイメージして演出していったといっています。「母は強し」という言葉が頭によぎり、母親が子どもに捧げる無償の愛とどんなものにも屈しない魂を作品を通じて感じ取れます。

キャスト

  • クリスティン・コリンズ・・・ アンジェリーナ・ジョリー (日本語吹き替え:湯屋敦子)
  • グスタヴ・ブリーグレブ牧師 ・・・ジョン・マルコヴィッチ(日本語吹き替え: 壤晴彦)
  • J.J.ジョーンズ警部 ・・・ジェフリー・ドノヴァン (日本語吹き替え:内田直哉 )
  • ジェームズ・E・デーヴィス市警本部長 ・・・コルム・フィオール (日本語吹き替え:佐々木敏)
  • ゴードン・ノースコット・・・ ジェイソン・バトラー・ハーナー (日本語吹き替え:平田広明)
  • レスター・ヤバラ刑事・・・ マイケル・ケリー (日本語吹き替え:広瀬彰勇)
  • キャロル・デクスタ・・・ エイミー・ライアン
  • サミー・ハーン・・・ ジェフ・ピアソン
  • ジョナサン・スティール・・・ デニス・オヘア

スタッフ

  • 監督 ・・・クリント・イーストウッド
  • 製作 ・・・クリント・イーストウッド、ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ロバート・ロレンツ
  • 製作総指揮 ・・・ティム・ムーア、ジム・ウィテカー
  • 脚本 ・・・J・マイケル・ストラジンスキー
  • 撮影 ・・・トム・スターン
  • プロダクションデザイン ・・・ジェームズ・J・ムラカミ
  • 衣装デザイン ・・・デボラ・ホッパー
  • 編集 ・・・ジョエル・コックス、ゲイリー・ローチ
  • 音楽 ・・・クリント・イーストウッド、クリスティン・ヤバラ

映画ノミネート

受賞は逃していますが、この作品はたくさんの映画祭でノミネートされています。チェンジリングの映画が公開された2008年は『スラムドッグ$ミリオネア』が各賞を総なめした年でもあるので、もしこの作品ではなかったら・・?!とも思えます。クリント・イーストウッド

第81回アカデミー賞ノミネート

  • 主演女優賞 ・・・ アンジェリーナ・ジョリー
  • 撮影賞 ・・・トム・スターン
  • 美術賞 ・・・Gary Fettis、 ジェームズ・J・ムラカミ

第61回カンヌ国際映画祭ノミネート

  • パルム・ドール ・・・クリント・イーストウッド

第66回ゴールデン・グローブ

  • 女優賞 ・・・ アンジェリーナ・ジョリー
  • 音楽賞 ・・・ クリント・イーストウッド

第62回英国アカデミー賞

  • 主演女優賞 ・・・ アンジェリーナ・ジョリー
  • 監督賞 ・・・ クリント・イーストウッド
  • 脚本賞 ・・・ J・マイケル・ストラジンスキー
  • 撮影賞 ・・・ トム・スターン
  • 美術賞 ・・・ Gary Fettis、ジェームズ・J・ムラカミ、
  • 衣装デザイン賞 ・・・ デボラ・ホッパー
  • 編集賞 ・・・ ゲイリー・ローチ、ジョエル・コックス
  • 音響賞 ・・・ John T. Reitz、Alan Robert Murray、Walt Martin、Gregg Rudloff

第14回 放送映画批評家協会賞

  • 作品賞
  • 主演女優賞 アンジェリーナ・ジョリー
  • 音楽賞 クリント・イーストウッド

第33回日本アカデミー賞

  • 外国作品賞
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